69 名前:('A`) 投稿日:2004/07/30(金) 17:40
―――この国で童貞狩りが始まって1年になる。
当初は大きな反乱があったものの、装備的に劣る童貞たちはどんどん衰退していった。
2ヶ月ほど経ったころには、反乱の急先鋒で指導的立場にあった童貞連合も崩壊し、
それ以降童貞たちの敗北が続いている。
このころから政府は疲弊の見え始めたイケメン部隊を補佐する部隊の編成を考え始め、
運動神経のいい童貞たちに内応の誘いをかけた。
無論、童貞を喪失させる保証を条件としてである。
旗色の悪い童貞達からすれば、これはたまらない誘惑だった。
追い立てられることもなく、戦う装備も豊富、
何よりまだ見ぬ女体への好奇心が彼らを裏切りへと駆り立てた。
こうして結成されたイケメン補佐童貞部隊『D−メン』の活躍もあり、
童貞狩りは終幕へと向かっていった。


「『D−メン』配置完了」
「了解、3分後に作戦行動を開始しろ」
「了解」
喪一郎はふう、とため息をつく。彼の率いる『D−メン』のメンバーは皆いまだ童貞である。
政府側との契約で童貞狩り終了をもって童貞喪失の手筈をつける話になっていたからだ。
彼らも結成されて半年が経ち、これがおそらく最後の大規模戦闘になるであろうと聞いている。
無論彼らは補佐する立場であり、戦闘では常に覆面をし、イケメン達の盾となり前を進む。
彼らはあくまでイケメンの盾でしかないという悲しさもそこにある。
「よし、3分だ。行くぞ!」
喪一郎はメンバーに声をかけると通路に飛び出し、
その手にある自動小銃で攻撃を開始し、メンバーもそれに続く。
皮肉にも最後の戦闘の地は喪一郎の昔所属していた武鎖(ブサ)同盟の本拠だった。
見慣れた通路、見慣れた部屋。童貞側の反撃は拳銃のみ。
それを気にもとめないように彼は部隊を指揮し、次々と制圧していく。
容赦なく撃った敵のなかには見知った顔もいたかもしれない。
しかし彼は感傷に浸る様子もなく走り続ける。まるで、機械のように。
彼にとって、自分が童貞達を殺すよりイケメン達が殺すのを黙って見ているほうが
耐えられないからである。
喪一郎は冷徹な表情で進んでいく。
ラストドウテイ編(完)  Next>>
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